教育・研究トピックス

日中韓大学院生フォーラムについて

研究科長あいさつ

 

第10回日中韓大学院生フォーラム(10th China-Japan-Korea Graduate Student Forum 2017)が、2017年9月22日から25日まで中国、北京市の中国地質大学(China University of Geosciences)国際交流センターで開かれました。日本からは筑波大学、東北大学、北海道大学、神戸大学、中国からは北京大学、清華大学、中国地質大学、中国農業大学、中国科学地理院、中国科学院研究生院、瀋陽農業大学、韓国からは忠南大学、日中韓3カ国から計12校の参加がありました。筑波大学から大学院生29名、学類生1名、教職員8名が参加しました。

このフォーラムは、大学院生主体で国際会議の運営を行い、プレゼンテーション技術を向上させ,国際交流と国際理解を図ることを目的としています。今回は、中国地質大学の大学院生が運営主体となり、Life 、Environment、Resources の 3 つの分野、12 セッションで、学生による124題の口頭発表が行われました。

9月24日の夜に行われた授賞式では、筑波大学から 1 等賞 6 名、2 等賞 6 名、3 等賞6 名が受賞しました。筑波大学生の研究水準、英語でのプレゼンテーションスキルの高さを示す結果となりました。同時に行われたフェアウェルパーティーでは、各大学からパフォーマンスが披露されました。筑波大学からは全員が参加して、日本伝統のソーラン節を披露し、そのパワーで会場を多いに盛り上げました。

中国地質大学関係者の心のこもった歓迎と運営、そして美味しい中国料理のおかげで、終始和気あいあいの雰囲気の中で、学生同士、教員同士、スタッフ同士の交流が盛んに行われ、実りの多いフォーラムとなりました。9月24日午後に開催されたラウンドテーブル会議では、次の10年間の日中韓大学院生フォーラムの開催方針について議論され、本フォーラムの継続と更なるレベルアップを目指すことで意見が一致しました。また、来年、2018年の第11回日中韓大学院生フォーラムは、9月27日~30 日に筑波大学で開催されることが決定されました。

今回の日中韓大学院生フォーラムで筑波大生が大きな成果を上げたのは、学生リーダーの見事なリーダーシップと素晴らしいチームワークの賜物です。また、生命環境支援室中国サポートチーム、国際連携、WEB担当の皆様の尽力で今回のフォーラムの事務業務がスムーズに進められました。そして特筆すべきことは、本学の学生たちが優秀な成績を収めることができたのは、発表練習会で指導をして下さった先生方の適切な指導と厳しい訓練の成果だと思います。ご協力いただいた教員各位に心からお礼を申し上げます。

生命環境科学研究科長 沼田 治

日中韓大学院生フォーラムの概要

 

本フォーラムは、生命・環境分野のグローバル高度人材の育成を目的とする「大学院生による、大学院生のための、大学院生のフォーラム」です。本フォーラムの最大の特徴は、開催大学の参加者から選ばれた学生リーダーらを中心に、日・中・韓の代表大学の学生が主体性をもってフォーラムを運営すること、すなわち、フォーラムの準備、他大学の学生リーダーとの連絡、当日の運営および報告までの一連のタスクを、学生リーダーらが自ら工夫して実行し、問題にぶつかれば協同して解決策を見出し、フォーラムをリードしていくことにあります。筑波大学では、本フォーラムを、将来、国際社会での活躍を目指す大学院生の登竜門として位置付けています。

本フォーラムの取り決めとして、毎年、日本の筑波大学、中国の中国地質大学および韓国の忠南大学校がホスト大学として持ち回りでフォーラムを主催し、日本からは北海道大学、東北大学、福島大学、神戸大学、徳島大学、九州大学等、中国からは北京大学、精華大学、中国農業大学、北京師範大学、中国科学院大学院および中国科学院地理科学与資源研究所の院生が参加します。そして、主催大学が参加者全員の国内旅費、宿泊費、食費を負担することになっています。

フォーラムの略歴

 

2007年 筑波大学と北京大学、精華大学、中国地質大学、中国農業大学、北京師範大学、中国科学院大学院、中国科学院地理科学与資源研究所の6大学1研究所との間で学生交流を含む大学間協定が交わされたことを契機に日中間の相互理解と学問的な情報共有を目的とした日中2国間のフォーラムを企画
2008年 3月に中国・北京市でプレフォーラムを開催し、同年10月に第1回日中大学院生フォーラムを筑波大学において開催
2012年 第5回より、韓国の忠南大学校が参加し、フォーラム名を日中韓大学院生フォーラムに改称
2017年 10周年を迎える

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フォーラムの3つの柱

 

 世界的な競争と共生が急速に進む現代社会において活躍できるグローバル人材にはさまざまな要素が求められていますが、本フォーラムではその中でも以下の3点のスキルや能力の獲得を主眼とし、理系のグローバル高度人材の育成を目指します。

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(1) 異文化コミュニケーションスキルの体得

グローバル人材に求められている最も基礎的な能力は、多言語によるコミュニケーションスキルです。本フォーラムでは単なる英語能力の向上にとどまらず、自己のアイデンティティを保ちつつ、他国の歴史や文化を理解し、異なる価値観にも適切に対応し、英語を用いてさまざまな文化的バックグラウンドのメンバーと協同できるスキルをフォーラムの交流プログラムを通じて体得します。

(2) 自己の価値の創出能力の向上

理系のグローバル人材に求められる要素の1つに、研究活動を通じて専門領域の知識および分析能力を磨き、明確さと説得力をもって他者に新しい知見を伝える、いわゆる、プレゼンテーション能力があります。本フォーラムでは、教員による指導のもとに事前練習を繰り返し、プレゼンのコンテンツおよびパフォーマンスをブラッシュアップするとともに、論理的思考を持って専門的知識や自己の研究成果を社会システム全体の中で位置付けることのできる自己の価値の創出能力を涵養します。

(3) グローバル・リーダーの養成

刻々と変化する国際社会において、個人の価値を創出するだけではなく、さまざまな文化的バックグラウンドのメンバーからなるグループを牽引し、組織として新しい価値を創造していく人材が求められています。本フォーラムでは、異文化・多文化の理解力と英語でのコミュニケーション能力とを兼ね備えるだけでなく、多様性の中でバランス感覚をもつとともに、そのメンバーの多様性を生かすことで相乗効果を生み出し、組織をリードできる人材を養成します。本フォーラムでは運営実務を通じて、広い視野で問題解決に取り組み、リーダーとして組織を牽引する能力を身につけます。

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フォーラム実施体制

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(1) 学生リーダーによるイニシアチブ

教員により選抜された6名の学生リーダーがイニシアチブをとり、他大学と調整しながら、本フォーラムの準備・実行・報告を行います。学生リーダーの具体的な役割として、タスク管理、他大学との連絡・調整、参加者募集、参加者向け説明会開催、プレゼン練習会の日程組み・実施、プログラム作成、要旨集編集、会場設営・運営、備品手配、採点方法の考案、採点結果集計、歓送迎会計画・進行、フォーラム中のオンデマンド対応、報告書とりまとめを行います。

(2) サポート体制

本フォーラムは、大学院生が主体になって運営を行うものですが、教員、事務スタッフ、学群生(他大学における学部生)のサポートも不可欠です。具体的には、教員が事前のプレゼン指導及び当日の審査員として参加し、事務スタッフが、会計処理、会場手配、ウェブサイト立ち上げ、宿泊・バス手配、VISA申請書類手配をサポートし、約15名の学群生が、当日のセッションや歓送迎会運営の実働部隊として学生リーダーの指示の下フォーラムを支えます。

(3) ウェブサイトの活用

参加者募集・登録、要旨提出、プログラム周知、報告書提出、その他フォーラムに関係する情報の発信はすべてウェブサイトを通じて行います。

(4) 情報発信

フォーラムに関する情報発信は、フォーラムホームページ、大学ホームページ(日本語・英語)、研究科ホームページ、募集ポスター、プログラム(要旨集)、募集フライヤー、報告書を通じて行います。

 

 

 

学生リーダーからのメッセージ

JCKフォーラムに学生リーダーとして参加しての発見

第10回フォーラム学生リーダー
竹原繭子

 2017年に北京で行われた日中韓フォーラムは、私にとって参加2回目となるもので、学生リーダーとして意気込んでいました。前回(2016年)の反省を踏まえての準備でしたが、いるはずの学類生リーダーがいないということで、想定外の仕事をすることから始まりました。私は主に国際担当で、中国側の学生を通してVISA申請のための招聘状を完成させることをしていました。仕事内容が難しい訳ではないのですが、待たせている筑波大の参加留学生たちを不安にさせないように迅速に完成させるには、正確さと開始時期の速さが重要になってきます。交渉先の相手と自分の英語の取り違えが重なると結果的に招聘状の締め切りに響いてくるので、早すぎるくらいの時期から取り組むことに越したことはないとつくづく思います。
自分自身では事前準備でまあまあの出来のつもりで迎えた当日は、思い知ることが多々ありました。現地でのリーダー力は他の学生リーダーが発揮してくれて正直自分の英語力と機転の利かなさを情けなく感じました。一言でいうと、「自分の(英語力・対応力・研究内容)実力のなさが自分に降りかかってくる」という感じです。一国際フォーラムに「研究者」と「リーダー」両方の立場から参加したことで、考えさせられたことは沢山あり、帰国後の研究への向き合い方を考える上で多少糧になりました。国際フォーラムに学生リーダーとして参加する経験は貴重だと思うので、立場を自覚して各々の実力を発揮していけば、成長するいい機会になると思います。今後の日中韓フォーラムでの筑波大生の活躍を応援しています!

10th leader

 

 

日中韓大学院生フォーラムの歴史

 

2008年より始まった、日中韓大学院生フォーラムの歴史についてご紹介します。

日中韓大学院生フォーラムの歴史 (2007年プレ開催~2014年北京、2015年日本開催の予定まで)

 

年間タイムライン

2018年は9月27日~30日の開催に向けて、2月から準備を開始し、フォーラム後1~2か月を目安に報告書作成および関係先への報告を行います。

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フォーラムスケジュール

本フォーラムの核となるセッションは2日間にわたって、生命分野、地球分野、環境分野などの約20セッションに別れて行われます。また、セッションの前日および終了後には、歓送迎会およびエクスカーションを行い、参加者同士の交流を深める機会を設けています。

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質疑応答の様子

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表彰者と教員