生命環境系 系長あいさつ
生命環境系長 中田 和人
生命環境系は、地球科学、生物学、化学、農学、工学、経済学、人文地理学といった幅広い学問分野から地球、生物(生命)、農業、林業、環境などにかかわる研究を展開している教員によって構成されています。このため、生命環境系は各教員の専門性の高い研究はもちろんのこと、学際的で分野横断的な研究や文理融合型の研究も自在に展開・深化できる組織です。このような特性を活かし、生命環境系は、ヒトも地球も幸せな理想的な「エコ・デザイナブル社会」の実現に向け、生命圏・地球圏を理解し、制御し、デザインすることによって、持続可能な地球環境を創造し人類の存続可能性を高めるデザイナー研究の中心を担う研究を展開しています。
生命環境系の教員は、研究センターでの先端研究や大学・大学院での教育においても活躍しています。生命環境系の教員が関係する学内のセンターや全国共同利用施設には、つくば機能植物イノベーション研究センター(T-PIRC)(全国共同利用研究施設)、下田臨海実験センター(SMRC)、山岳科学センター(MSC)(菅平高原実験所は全国共同利用教育施設)、放射線・アイソトープ地球システム研究センター(CRiES)(全国共同研究共同利用拠点)、微生物サステイナビリティ研究センター(MiCS)などがあります。また、生命環境系の教員は、生命環境学群(地球学類、生物学類、生物資源学類)の大学教育や、生命地球科学研究群の学位プログラム(地球科学学、生物学、生物資源科学、環境科学、山岳科学、農学・NARO、生命農学、生命産業科学、環境学、ライフイノベーション)や国際連携持続環境科学専攻などの大学院教育に参画しています。このように、生命環境系では、生命、人間、これらを取り巻く基盤である地球、環境分野を網羅する専門家集団として、生命・地球の理解、地球規模課題の解決と未来地球社会の創造に資する世界トップレベルの基礎および応用研究を推進するとともに、わが国の生命環境科学分野の担い手となる人材や国際的視野に立って活躍できる未来創造型の人材といった多様な人材の育成に貢献しています。
さて、私は2024年4月1日付けで生命環境系の系長職を拝命致しました。私自身は、社会経験も乏しく、人間的にも重厚な思考が形成されているとは言えません。その上、私は生物学類を卒業し、生物科学研究科(生物学学位プログラムの前身の一貫性大学院)を修了しておりますが、生物学類には(医療技術短期大学部を卒業し、研究生を経てからの)2年次編入学であり、正直に言えば、現在で言う推薦入試や前期試験、後期試験では生物学類に合格できるような学生ではありませんでした。ですので、私のような者が生命環境系の系長職を拝命すること自体、ほんとうに申し訳ない気持ちでいっぱいです。このようなものではありますが、生命環境系の教員のみなさま、生命環境系(技術室)の技術職員のみなさま、ならびに、生命環境エリア支援室の職員のみなさまらとの協働を通して、生命環境系の特性を活かし、飛躍させ、かつ、新たな特性をも見出し、開拓しながら、円滑かつ適切にこの素晴らしい教員組織を運営できますよう、精一杯、懸命に努力していきます。
みなさまのご協力とご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
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私にとって、大学や大学院で過ごした時間はかけがえのないものであり、ほんとうに素晴らしいものでした。とは言え、実のところは、善いこと(楽しいこと)はそんなに多くはなくて・・・むしろ、自分の能力の限界を感じながら、もがき、苦しみ、落ち込むことの方が圧倒的に多く、長かったことも私の記憶にしっかりと刻まれております。大学院時代の研究活動は最先端の研究テーマをやっていたわけではありません。研究経費も潤沢ではありませんでした。このような、それこそネガティブな環境の中で、私はさまざまな難題やとうてい 越えられそうにない壁に直面し、失敗を繰り返し、もがき、苦しんで来ました。
しかしながら、私がしてきた大量の失敗は、指導教員や心ある多くの教員に見守られ(叱咤激励され)、多くの先輩・後輩に助けられ(時に突きあげられ)ながら、堂々と繰り返すことができました。この失敗を繰り返す過程で、小さな実験であってもそれらに成功する喜び、新しいものを観る・見出す喜び、新たな研究戦略をひねり出すための悶絶・格闘の面白さなどなど、科学(失敗を堂々と繰り返すこと)を愉しむ体質と体力を身につけ、鍛錬できたと思っています。
時代錯誤とは思いますが、私はこのようなかけがえのない時間を過ごすこと(失敗を堂々と繰り返しながら、自分探し)ができる大学や大学院の教育課程や研究環境を守り続けたいと、切に願っております。このために私は、教員各々が自らの個性や研究の特性をおおいに発揮できて、ことさら愉快に活動・活躍できるよう、努力したいと思っております。
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2024年4月1日