研究室にようこそ!

個性豊かな研究室を紹介します。

地球進化科学専攻
生物圏変遷科学分野

田中 康平 助教 TANAKA Kohei

研究室にようこそ ~恐竜研究は止まらない!~

 

さあ、どうやって恐竜のナゾを解き明かそう

巨大な恐竜たちは、一体どうやって卵を温めていたのでしょうか。鳥のように抱卵したのでしょうか。大型恐竜が卵の上に座ったら、卵は潰れてしまいそうです。だったら卵を埋めていたのでしょうか。埋めたとすると、どこから熱を得ていたのでしょう?

恐竜研究をしていると、たくさんの謎にぶつかります。その多くは未だ解明されていないホントの謎です。この謎に挑戦するのが、私たち古生物学者の仕事です。謎には2種類あって、タイムマシンがない限り解決が不可能な謎と、まだ解決の糸口が見つかっていないだけで、実はがんばれば解決できる謎があります。当然、私たちが狙うのは後者の謎です。

図1: テリジノサウルス類恐竜の集団での巣作り(復元画:服部雅人)

では、どうすれば謎を明らかにすることができるでしょう。化石から行動や生態を復元することは一筋縄ではいきません。すでに死んでしまった生物の、生きていた当時の様子を推測することは簡単ではないのです。証拠として利用できるのは、骨や卵殻、足跡などの化石くらいです。限られた証拠から、謎を解き明かすための研究が始まります。

私の場合、まずは今生きている動物を調べて、骨や卵殻に見られる構造が、ある特定の行動や生態とリンクしていないか探します。例えば、卵殻には小さな穴が開いていますが、この穴の数や大きさが、「抱卵する」「抱卵しない」の指標になることを突き止めました。抱卵しない種は卵を地面に埋めますが、卵の中の赤ちゃんが十分に呼吸できるよう、卵殻は多孔質になるのです。抱卵する種はその逆で、卵が地上に産み落とされますから、乾燥に強い緻密な卵殻になります。

恐竜の生態や行動を調べるときには、現在の動物もとても参考になるのです。私たち古生物学者は、恐竜の謎を解き明かすため、化石標本だけでなく、現在の動物標本や地層の情報などを集めています。

図2: 兵庫県丹波市で学生が恐竜の見つかる地層を調査している様子

進めている研究プロジェクト

私は恐竜たちの巣作りや子育て、つまり、「恐竜の繁殖」を研究しています。繁殖は生物の根本的な営みですが、実は恐竜ではまだ詳しいことが分かっていません。

現在の爬虫類と鳥類では、繁殖方法が大きく異なっています。系統上、その中間に位置する恐竜たちの繁殖方法を明らかにすることで、どのようにして繫殖方法が移り変わっていったのかを探ることができます。繁殖戦略の進化史が分かれば、なぜ、これほどまでに恐竜や鳥類が地上で繁栄できたのか、ヒントが得られるかもしれません。

図3: 中国浙江省で恐竜の卵化石を計測し、恐竜の繁殖を探る

恐竜の繁殖研究に加えて、最近では肉食恐竜の進化に関する研究も行っています。肉食恐竜の中ではティラノサウルスが王者として有名ですが、ティラノサウルスのなかまは最初から強い存在だったのでしょうか。最近の研究で、白亜紀の中頃までは別の肉食恐竜が覇権を握っていたことが分かってきています。ティラノサウルスのなかまやそれ以外の肉食恐竜の系統を研究し、どのようにして肉食恐竜たちのトップを巡る競争があったのかを探っています。

図4: 肉食恐竜の進化を解き明かすため、ウズベキスタンへ!

古生物研究に興味のある生徒・学生のみなさんへ

恐竜には未だ多くの謎が残されており、今後もたくさんの発見が見込める分野です。史上最も成功した陸上脊椎動物の一グループである恐竜たちを知ることで、地球の生命史の理解に貢献できると考えています。

私たちの研究グループでは、化石標本や動物標本を調べに博物館へ頻繁に出かけますし、今はコロナで移動に制限がありますが、今後はフィールドワークも積極的に行っていきたいと考えています。社会的関心が高く、とてもやりがいのある研究分野だと思っています。生き物たちの歴史を探りたい、化石に興味があるという皆さんには、ぜひ古生物学分野に進んでほしいと思います。

ただし、研究は簡単ではありません。恐竜研究と言うと、外国の砂漠で化石を発掘するイメージや、記者会見で新種恐竜を発表しているイメージを抱く方がいるかもしれません。そのようなシーンは恐竜研究のほんの一場面に過ぎなく、研究活動のほとんどが英語の論文を読んだり、書いたりするとても地味な作業です。華やかさとは無縁です。研究はロマンだけでは完成しません。地道な努力も苦にならない、意欲のある皆さんの進学をお待ちしています。

図5: カナダ・アルバータ州で恐竜化石を探す

恐竜研究の舞台裏についてもっと詳しく知りたい方へ、私が執筆した「恐竜学者は止まらない! 読み解け、卵化石ミステリー」(創元社)を紹介します。海外での研究生活の様子や恐竜研究はどうやって完成するのかなど、私の経験を本にまとめてみました。進路を考えるときの参考になれば嬉しいです!

図6: 「恐竜学者は止まらない! 読み解け、卵化石ミステリー」(創元社)

 

参考WEBサイト


生物圏変還科学分野

地球進化科学:地球史・古生物・環境変還

 

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田中 康平 TANAKA Kohei