研究室にようこそ!

個性豊かな研究室を紹介します。

糸状菌相互応答学研究室

浦山 俊一 助教 URAYAMA Shunichi

研究室にようこそ! ―ウイルス生態学featuring糸状菌―

我々は、目立つものに気をひかれてしまう生き物です。例えばよく晴れた空を見上げれば、太陽や雲の存在を感じられますが、その背後に無数に存在している星々の光は認識できません。また、秋雨の後に地面に生えてきたキノコに気付くことはできますが、その地中に生きる微生物の存在を直接見ることはできません。ですが、青空の背後に無数の星があること、落ち葉の下に無限の微生物が暮らしていることを、我々は想像することができます。我々の気を引かないけれども理由あって存在しているものに光を当てることは、我々の世界観を広げてくれるはずです(同時に、いかに狭いかも教えてくれる)。勿論、その知識は将来の役にも立つはずです。

糸状菌相互応答講座

我々の研究室ではウイルスと糸状菌が自然界でどのように暮らしているのかを明らかにすることに取り組んでいます。そのために、これらの自然界での挙動解析や、自然界から分離したウイルスと糸状菌を用いた室内実験を、分子生物学的手法を用いて行っています。教員としては、糸状菌が得意な萩原大祐先生(微生物サスティナビリティ研究センター/准教授)とウイルスが得意な浦山俊一(助教)で構成されています。


萩原先生と第一期生

ウイルス×糸状菌=たぶん最強

ウイルスは病気の原因だと思われていますが、微生物がそこら中にいるように、ウイルスもそこらの生物の中に潜んでいるということが分かってきました。「え?じゃそいつらは何してるの?」ということが気になりますよね。世の中の多くの人が気付いていない、生物の中に潜んでいるウイルス達の役割を見つけ出し「おもろー!(≒地球生命システムって凄い!)」と言わせたい。そこで、糸状菌の登場です。詳細は下記の読み物を見ていただくとして、糸状菌とその中にいるウイルスの組合せは最強です。なので、研究材料としては「糸状菌とその中のウイルス」ですが、見据えているのは自然界の「何しているのかわからないそこら中のウイルス」全部です。この今はまだマイナーなウイルス達の重要性を明らかにすることで、「無名の湘北高校が強豪校を破る」的なウイルス版サクセスストーリーを、皆で仕上げたいと願っています。

自身の過去の経験と、このウイルスのテーマを融合させた、新しい研究の材料を集める研究員さん

座右の銘が『フィジカルで圧倒する』になった、実験の虫

メンブレンベシクル

メンブレンベシクルは、細胞が作るウイルスくらいの小さな脂質で出来た小胞です。細胞はこれを細胞外に放出して、その中身を相手に届けることで他の細胞とコミュニケーションしているのではないかと言われています。このメンブレンベシクルも、ウイルス同様に目には見えない存在であるが故に長らくその存在に気付かれてきませんでした。実際、糸状菌を培養して顕微鏡で見ても糸状菌しか見えないのですが、脂質を光らせる試薬を入れてみると、糸状菌の細胞外に小さい脂質の粒(メンブレンベシクル)がたくさん見えます。そう、今まで糸状菌を顕微鏡で見ていた人の眼のまえにも、メンブレンベシクルは存在していたのですが、それを見ようとした人がいなかったので見つかっていなかったとも言えるのです。数年前に、糸状菌がメンブレンベシクルを作るのか?というところから始め、どのように作られるのか?中身は何が入っているのか?というところに取り組んでいます。

土からホームランデータ、でないかなー

全然取れなかったメンブレンベシクルを初めて電子顕微鏡で見つけたときと、培養条件を変えたら思った通りメンブレンベシクルが産生されるようになった時のこと、覚えています。

何者かになろう

理系研究室の例にもれず、我々の研究室でも学生さんは多くの時間を研究に費やすことになります。筑波大生が修士まで進学すると、約3年半をかけて研究を進めることになります。現実的かどうかは人それぞれでしょうが、その気になれば365日×3.5年×8時間=約1万時間を特定の対象に懸けることが可能です。1万時間の法則をご存じでしょうか?だいたいどの分野でも、1万時間ほど真剣に取り組めば、その分野の専門家になれるという経験則です。人生の中でこれだけの密度で物事に取り組める機会はなかなかないので、研究ではなくてもいいので全力投入してみることをお勧めします。一方で、じゃぁ何をやるのか?と考え始めると前に進めなくなるので、これだ!というものにまだ出会っていない人(多くはそうであると思います)は、研究をしてみてはいかがでしょうか。私自身、植物の研究をしてみようと思って入った研究室で出会ったウイルス(植物ではなく!)との付き合いが、もう10年以上になります。

 

参考WEB


mics magazine 微生物マニア!(mics magazine 副編集長:浦山俊一)

ウイルス=病原体ではない。ウイルス生態学が解き明かす最新のウイルス事情。

環境バイオテクノロジー学会誌(Vol.19 No.1.5-12.2019)

再構築された”ウイルス生態像”

糸状菌分子生物学研究会若手の会

第2回特別企画〜糸状菌に感染するウイルスの生理生態〜

マイコウィルスこばなし

研究室WEB:糸状菌相互応答講座

 

研究者総覧 TRIOS


浦山 俊一