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筑波大学大気科学分野
釜江研究室

釜江 陽一 助教 KAMAE Yoichi

~KAMAE Lab. on Climate Variability and Change~

 

生命環境系 釜江陽一 助教(環境科学学位プログラム・地球学類担当)

 

私達の研究室では、「気候変動と異常気象」をテーマに、研究に取り組んでいます。日本をはじめ、世界各地では毎年のように台風、記録的大雨、洪水、熱波、寒波、干ばつ、といった極端現象に見舞われ、ときに多くの人命が失われています。私の専門分野である気象学は、極端現象の詳細なシミュレーションや、日々の天気予報の精度向上を通して、社会や経済が受ける被害を少なくすることに直結する学問です。近年、大気中の二酸化炭素濃度は400ppmの大台に乗り、世界の平均気温は上昇を続け、地球の気候は新たなステージへと突入しようとしています。このような地球の温暖化により、私達が住む日本を襲う極端現象は、これからどうなっていくのでしょうか?

私は2015年から2年間、筑波大学の「国際テニュアトラック」制度のもとで、カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリプス海洋研究所に滞在し、Shang-Ping Xie教授と共同研究を進めました。梅雨の時期から夏にかけて、日本ではうだるような蒸し暑い日が続きますが、サンディエゴはカラっとしていて、夏でも心地よい風を感じることができます。このように乾燥したサンディエゴでも、時折、冬の時期にひどい嵐に襲われます。これは熱帯低気圧ではなく、熱帯、特にハワイのあたりから、大量の水蒸気がまるで川のように筋状に流れ込むことで起こります。欧米ではこの現象を「大気の川」と呼び、大雨や洪水をもたらす現象として注目されています。スクリプス海洋研究所は、大気の川の研究を世界的にリードしていて、私もさっそく、日本を襲う大気の川について、Xie教授らと共同研究を始めました。

カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリプス海洋研究所に滞在する釜江助教

帰国後、日本でもこの「大気の川」が甚大な自然災害を引き起こしました。2018年7月に西日本を中心に、広い範囲で何日も豪雨が続き、洪水や土砂災害によって200人を超える方が亡くなりました。私はちょうど、Xie教授との共同研究の成果を論文にまとめていたところですが、このような自然災害を目の当たりにし、改めて自然の恐ろしさと、気象学が果たす役割の大切さについて認識を新たにしました。

日本を襲う大気の川

私達の研究室では、地球温暖化の進行を想定したシミュレーションの結果をもとに、極端現象の予測に関する研究を進めています。研究室には地球学類と、生命地球科学研究群環境科学学位プログラムの学生が所属しており、それぞれ興味のあるテーマに取り組んでいます。研究対象は、大気の川、台風、ブロッキング現象による熱波、爆弾低気圧による豪雪など、多岐に渡ります。私が生まれた昭和の時代から、地球温暖化問題は新聞・テレビで大きく取り上げられていましたが、残念ながら今でも、解明しなければならない謎が数多く残されています。令和を生きる若い世代の皆さんが、新たなステージに突入した地球温暖化時代を生き抜き、また世界の温暖化対策をリードするような人材に育つことの一助となることを目指して、これからも研究・教育に取り組みたいと思います。

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