卒業生の声

社会で活躍されている卒業生・修了生の活動を紹介します。

No.02 今西 泰赳 IMANISHI Hirotake
陶芸家



生命環境科学研究科

経歴

2004 物学類 入学
2008年~2012 生命環境科学研究科

昨日(過去)…

筑波大学第二学群生物学類に入学したのは2004年。卒業研究から博士課程終了まで、林純一教授の研究室にてミトコンドリアを中心とした研究を行っていました。林教授の研究室を初めて訪れたのは大学に入学してすぐだったと思います。大学入試の面接の際に、“ミトコンドリアについて興味がある”という話をしたら面接官であった沼田治教授に“ミトコンドリアを研究している林純一というおもしろい先生がうちにはいる”と教えられたのがきっかけでした。

林先生のもとで研究の基礎や物事の考え方など、数多くのことを学びましたが一番深く心に残っていること。それは、「金にはならないかもしれない。でも、知的好奇心、知りたいことを知ろうとすること、“pure science”が一番大切である。」と仰っていたことです。

今日(現在)…

筑波大学で生物学の研究を行っていた私が、今は陶芸を生業とするために作品作りを行っています。信楽で2年、陶芸の基礎勉強を行い、現在は石川県で九谷焼の上絵付けの技法を自分の作品に生かすべく勉強をしています。

“全く違うジャンルなのに、よく決心したね”、”博士号まで取ったのに勿体ないね”とよく言われます。しかし、私は生物学の研究も陶芸作品の制作も共に、創造的(クリエイティブ)な世界であると考えています。また、陶芸における粘土の調整、釉薬の調合、窯の焼成などの試行錯誤は科学における実験と似通った部分が多くあり、大学で学んできたことは作品を作っていくうえでの強みであり、欠かせないものであると考えています。

明日(未来)…

私は、これからも常に新しいことを学び、自己の内面を陶芸という手段を使って具現化していきたいと考えています。大学時代に林先生がおっしゃっておられた“pure science”と同じような概念である、「自分が作り、この世に生み出したいものを追求する。“pure ceramics”を胸に真摯に制作を行う。」ということを第一に考えていきたいと思っています。

これから大学に入ろうと考えているみなさん、そして今大学で学んでいるみなさん。どのような事であっても、学ぶという事は自分の幅を広げる手段だと思っています。そして学びの成果や経験は将来思いがけない場面で役に立つと思います。たとえ辛くてもどのような事も中途半端にせず、初心を忘れず、挑戦することを皆さんにはお勧めしたいと思います。

作品1:作品名 Differentiation(金沢21世紀美術館での展示)