鈴木隆久記念研究支援基金

この基金は故鈴木隆久名誉教授からの御遺贈を受け、生命環境系における研究支援を目的として設立されました。

鈴木先生は大学の独立行政法人化の翌年(2005年)に退職されましたが、法人化により後輩の教員・研究者の研究費が減少することを大変心配され、特に専門分野の近い後輩の研究費にあててほしいとのご希望で大学への御遺贈が実現いたしました。
基金名称については、御遺族の了承も得ましてお名前を冠した「鈴木隆久研究支援基金」と決定いたしました。

鈴木隆久先生の御経歴

農学博士
筑波大学名誉教授
鈴木 隆久 先生

1967年 東京教育大学大学院農学研究科農芸化学専攻助手
1978年 筑波大学応用生物化学系講師
1992年 筑波大学応用生物化学系准教授
1993年 筑波大学応用生物化学系教授
2005年 筑波大学退職
2006年 筑波大学名誉教授
2021年1月 逝去

研究領域

化学生態学、生理活性天然物化学

研究テーマ

生物間で機能する相互作用物質の構造と機能の解明

コクヌストモドキの集合フェロモン

当時の生物学類では応用生物化学系の主要な講義、実験を数多く担当されてきました。また、研究では、生物間で機能する情報化学物質(Semiochemicals)をテーマにされ、具体的には、昆虫フェロモン、貯穀害虫の集合フェロモン、植物に含まれる昆虫の摂食刺激物質・摂食阻害物質・摂食誘引物質・産卵誘引物質、昆虫の防御分泌物などを研究されていました。なかでも、コクヌストモドキの雄が分泌する集合フェロモンの構造を決定し、その生合成経路を解明されたことが大きな業績として挙げられます。この物質はフェロモン剤として市販され、虫の防除に使用されています。
持病がおありだったため、思うような研究時間を取れない制限もありましたが、もともと几帳面な性格をいかし、厳密な時間管理のもと、授業・研究に時間をうまく振り分けていらしたそうです。
鈴木先生の几帳面な性格を物語るエピソードとして、毎年の初見日を記録していらしたというものがあります。気象庁の生物季節観測で既定の動物で行われていますが、同じようにその年初めて蝶を見た日、セミの声を聴いた日、などを趣味で記録されていました。
また、熱心に植物の撮影を楽しんでいらっしゃいました。玄人はだしの腕前で様々な場所に出向き撮影されていたとのこと。撮影に行ってみたい場所がたくさんあり撮影旅行も計画されていました。退職後は写真集を発行されました。

*ご一緒に研究をされていた生命環境系 松山先生にお話を伺いました。

下記はつくば生物ジャーナルに掲載された鈴木先生の記事です。先生のひととなりがあらわれていますので是非ご覧になってください。
つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2006) 5: TJB200603SE2.
つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2004) 3: TJB200408Suzuki